2010年3月17日水曜日

回想 Vol 6



そんな馬鹿な〜?

居眠りして反対車線の法面に激突!乗り上げた瞬間意識が戻った

車は大きく傾きながら
そう、波乗りに例えると
ボトムからのアップ&ダウンみたいに、まさにボトムに向かっていた
ドガン!と鈍い音とともに反対車線に舞い戻り
もとの走行車線に戻ってきた
なにがなんだかわからなかった

呆然と運転を続けた
もう眠くならなかったし


対向車がなくてよかったぁ
法面がスロープ状でよかったぁ
人がいなくてよかったぁ

だんだんと冷静になり
ルームミラーを見てみるとドキッとした

流血プロレスラーのようだった
慌てて車を止めた

額が割れていた
おまけに首も腕もおかしい

フロントガラスはヒビ割れ
ボンネットから右サイドはボコボコになっていた

結局、病院にも行かず、警察にも通報せず、

絆創膏と帽子で変装して仕事場へ向かった

その日のステージは
なぜか満席で、店内の熱気で独特な雰囲気だった

常連客に冷やかされながらも

深くかぶった帽子はとることもできず

吹き出した汗と血で

全身が熱気に包まれていき気が遠くなりそうになった



一秒でも早く家路につきたい気分なのに

こんな日に限ってお誘いの声がかかる

丁寧にお断りの挨拶を済ませ、こそっとエレベーターにもぐり込んだ

やっと帰れると思うとホッとした

ドアが開いたその前には別の常連客三人組が!

普段は嬉し感謝のファンなのにうつむいてしまった

’今夜はつきあってよね〜?’


あ〜この前も断ったし〜

あ〜なんでこのタイミング〜 どうする?


つづく

text by tatsuo 70's memory


0 件のコメント:

コメントを投稿